大判例

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東京高等裁判所 昭和35年(う)519号 判決

被告人 葉山政男 外二名

〔抄 録〕

同第三点、海野、竹下両弁護人連名の控訴趣意第一点について。

各所論は、原判決が判示第一の一の各所為につき公職選挙法第二百二十一条第三項第一項第一号等を適用したのは法令の適用を誤つたものであると主張する。よつて調査するに、原判決は右各事実に法律を適用するに当り、被告人の立候補届出前の判示金員供与の所為は公職選挙法第二百二十一条第三項第一項第一号に、同様判示金員交付の所為は同法条第三項第一項第五号第一号に該当するものとしていることは所論のとおりであつて、同条第三項にいう「公職の候補者」とは、同法の規定に基ずく正式の立候補届出または推せん届出により候補者としての地位を有するに至つた者をいい未だ正式の届出をしないいわゆる「公職の候補者となろうとする者」を包含しないことは最高裁判所判例(昭和三四年(あ)第一、一九〇号同三五年二月二三日第一小法廷判決参照)の示すところであるから、原判決が立候補届出前の被告人の所為に同条第三項を適用したのは法令の適用を誤つたものというべく、同条第三項の罪が、同条第一項の罪に比し、その法定刑において重いことにかんがみれば、叙上の誤が判決に影響を及ぼすこと明らかであるから、原判決はこの点においても破棄を免れない。

なお職権をもつて調査するに、原判決は被告人葉山の判示第一の一の各所為に法令を適用するにあたり、事前運動の点は同判示第一の一の(イ)乃至(ホ)を通じて包括一罪であり、これと各供与乃至交付とは一個の行為で数個の罪名に触れるから右第一の一の所為は結局一罪として処断すべき旨判示しているのであるが、買収犯の如く、法定の期間内であると否とにかかわらず、それ自体違法な選挙運動行為が数個ある場合には、事前運動の場合でも各行為毎に犯罪が成立し、これらを併合罪として処断すべきことは、最高裁判所判例(昭和三四年(あ)第一、五二七号、同三五年四月二八日第一小法廷判決参照)の示すところであるから、判示第一の一の各所為を結局一罪として処断した原判決は法令の解釈適用を誤つたものであつて、この過誤は原判決に影響を及ぼすこと明らかであるから、被告人葉山に対する原判決はこの点においても破棄すべきものである。

(岩田 渡辺辰 司波)

註 判示第一と同趣旨判決

三五(う)第一、一四五号 第八刑事部 三五、一〇、 六 言渡

三五(う)第一、四五五号 第八刑事部 三五、一〇、一一 言渡

三五(う)第一、七二一号 第三刑事部 三五、一〇、二二 言渡

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